経済用語 ボキャ貧克服計画3
経済用語 ボキャ貧克服計画3
3日目 4月14日
ダイリューション
直訳では希薄化のことを指す。
既発行の株式を公募や株式交換のために新規発行することによって、発行済み株式総数が増え、既存の株式の価値が公募や株式交換後に比べて相対的に落ちることをいう。ダイリューションが起こる際には株価が少なくとも一時的には下落するため、継続的な下落を見込むのであれば空売りを提案する等が可能になる。
売り出し・PO
既発行の株式が大規模に売り出されること。大規模な株式の売り注文が複数の投資家によって個別に行われることによって株価が大きく下落することを防ぐために、期間を定めてまとめ売りすること。売り出しの際には時価よりもやや安値で売りが行われる。
基本的に売り出しの際には自社株買いがセットで行われることが多く、加えて流通している発行済み株式総数が増えるわけではないのでダイリューションも起こらないため、株価の大きな下落が起こりづらい。そのため、この先の株価の展望としてある程度株価の上昇が見込める場合には既存の株主には買い増しを推奨するなどの提案が考えられる。
株価の展望としては経営基盤や収益構造の多角化などももちろんのことながら、売り出しによる影響についても考慮するとよい。例えば、売り出しによって主要株主の多くが入れ替わることにより、新規の株主が経営に目を光らせることとなり、経営改革や利益率の向上が進む可能性や、もともと流通株式数が多くないながら人気銘柄であった中小企業の株であれば、大量の株式を入手するチャンスが生まれること、そして自社株買いによる増配の見込みなどが挙げられるだろう。
ちなみに、自社株買いによって増配が起こる要因としては、企業が買い戻した自社株を焼却することで発行済み株式数が減少し、1株当たりの利益や資産価値が向上することになる(ダイリューションの逆)からである。
株式交換
株式交換とは企業買収の方法の一つで、親会社となるA社が子会社となるB社の株主に対し、B社株式を新たに発行するA社株式に交換することである。A社は形式的には買収に費用がかからないことがメリットであり、B社株主にとっては少し割高な交換比率でB社株式をA社株式に交換してもらえることで単純に資産価値が上がることがメリットとなる。反対に、A社株主にとっては発行済み株式数が増えることで株の希薄化が起きることがデメリットであり、B社株主にとっては単元未満株になる可能性があることや、主要株主ではなくなることがデメリットであると考えられる。これらを踏まえて株式交換に反対するB社株主はA社に対して株の払い戻しを請求することができる。
ちなみに、子会社となるB社の純資産が親会社となるA社の純資産の5分の1以下であるときには簡易株式交換を行うことができる。簡易株式交換では通常得なければいけない株主総会特別決議の可決を必要としないというメリットがある。